「LGBT理解増進法案の成立を推進するように求めるお願いと面談の申込み」を提出しました。

LGBT理解増進法案

6月4日、LGBT自治体議員連盟世話人の4名が名を連ねた下記の要望書を、自由民主党の二階俊博幹事長、佐藤勉総務会長、下村博文政務調査会長の党三役に対して、提出しました。

なお、本日は議連の2名の世話人が、佐藤総務会長、下村政務調査会長の議員会館内の事務所にて両名宛の要望書を事務所スタッフに概要を伝えつつ手渡し、また、自民党本部にて二階幹事長宛の要望書を職員に手渡しました。

「LGBT理解増進法案の成立を推進するように求めるお願いと面談の申込み」

自由民主党
幹事長 二階俊博 様
総務会長 佐藤 勉 様
政務調査会長 下村 博文 様

前略
私たちは、自由民主党を含む超党派の200名を超える地方議員が参加をする「性的指向と性自認に関する施策を推進するための地方自治体議員連盟」(https://lgbtjgr.org/) の世話人を務めるLGBT当事者です。
 
この度の法律案をめぐり、日本国における性的指向と性自認に関する施策の推進について自民党の党内での検討を重ねていただきありがとうございます。
 
しかし、報道では、LGBT理解増進法案が、党三役預かりとなっていたものを、今国会には、上程しない決定がなされたとされています。
 
今回の自由民主党内の議論では、「性自認」と「性同一性」と言う言葉を巡る議論があったと耳にしています。 従来の行政では政府も含め「性自認」という言葉を使い「性同一性」を使う例がないための変更だと考えますが、どちらもGender Identityの邦訳であり意味するところは同じだと専門家らも指摘しています。私たちも同様の見解をもっています。  上記の理由から性自認という語を用いれば「心の性が女性」と言いさえすればすべて女性として認められるようになってしまうといった認識は誤りであって心配に及ばないと思われます。
 
また、「LGBTは生物学上の種の保存に反する」との趣旨の発言も出たとも報じられましたが、人間以外の生物の種でも同性愛は広く見られるというのが、むしろ生物学者らの常識です。同性愛は少数派ではあっても異常ではなく、太古の昔から異性愛者の親から自然に産まれています。それによって種が滅ぶこともありません。常に存在し続けるそうした国民に対し「道徳的に許されない」といった存在否定はLGBT当事者やその親族の尊厳をひどく傷つけるものだと思います。
 
加えて、法案において、「差別はあってはならない」とするか、「差別は許されない」とするかについて、私たちは目的・理念の部分のみの記載で、差別を明確に禁じる法規定でもないことから、両者の違いで法律の執行における差は無いと考えます。このため部会などで意見が出たような、訴訟の増減に影響を与えるとも思えないところです。  
 
さらには、「差別は許されない」という文言を拒絶することで自由民主党が「LGBTへの差別を容認している」と誤解されてしまうことを懸念しています。   
 
7月に東京五輪を迎えるにも、かつて、ソチ冬季五輪では、開催国ロシアの同性愛嫌悪施策への批判から、米・英・仏・独・加、EUの首脳全てが同大会開会式への出席を見送りました。ホスト国としての開催を直近に控えた日本もLGBTに差別的な国であるかのような誤ったメッセージを世界各国が日本に注目するタイミングで発するべきではないと思われます。
 
与野党合意案がありながら、ひとり自民党三役による決定で同法案は上程されることもなく会期切れを迎えるかに見える状況であることを懸念し、成立に向けて取り組みを進めて頂けますようお願いいたします。
 
また、ぜひ私どもとの面談の機会ももうけていただけないでしょうか。 お忙しい中恐縮ですが、ご検討いただけましたら幸いです。 何卒よろしくお願いいたします。

世田谷区議会議員・LGBT自治体議連世話人 上川あや (トランスジェンダー MtF)
中野区議会議員・LGBT自治体議連世話人 石坂わたる (ゲイ)
入間市議会議員・LGBT自治体議連世話人 細田智也 (トランスジェンダー FtM)
前文京区議会議員・LGBT自治体議連世話人 前田くにひろ(ゲイ)